球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

「インディアンス」差別意識なくても…

[ 2016年10月23日 05:30 ]

 インディアンスの19年ぶりのワールドシリーズ進出に本拠地クリーブランド市は沸いている。盛り上がりは当然だが、イ軍と大リーグ機構(MLB)はカナダ・トロントでの対ブルージェイズ戦前の騒動の余波を気にかけている。「騒ぎが起こらないように」と。

 トロントでのア・リーグ優勝決定シリーズ第3戦開始の数時間前、イ軍とMLB、ブ軍のオーナー会社ロジャース・コムの弁護士たち20人もがオンタリオ州高等裁判所に詰め掛けた。先住米国人(インディアン)権利擁護運動の活動家が「イ軍のチーム名とユニホームに着けている頭に羽根飾りをつけ赤い顔で笑っている漫画の“ワフー酋長(しゅうちょう)”のロゴは人種差別的で、カナダの人権規範に違反だ。球団名をクリーブランド・チームとし、酋長ロゴのついていないイ軍キャンプ用のユニホームで試合すべき」と申し立てていたのだ。イ軍はキャンプ用ユニホームなど持ってこなかった。MLBとこの試合の中継権を持つブ軍の親会社も慌てた。判決次第ではカナダの中継だけブラック・アウト(放映中止)だ。被告弁護団が息詰まる思いで待った判決は「原告側の申し立ては却下。理由は後日伝える」。判事は試合の開催を優先してくれた。

 AP通信によると、ブ軍球団社長で昨年までイ軍の球団社長だったマーク・シャパイロ氏は「酋長ロゴには個人的にずっと悩んできた」という。そこでクリーブランド市と「チーフ=酋長」の頭文字「“C”を使うようにしてきたが、街の人たちはワフー酋長を愛している…」。4月には球場周辺で抗議運動があった。時代は差別された人たち擁護に向かう。イ軍にもファンにも差別意識はないだけに、難しい問題だ。 (野次馬)

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