球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

いつも“本音のリーダー”オルティスの殿堂入り確実

[ 2016年10月9日 05:30 ]

 引退するレッドソックスの指名打者、デービッド・オルティスが5年後に対象となる殿堂入りに関する予想記事が新聞に散見する。成績は文句なし。加えて、故国ドミニカ共和国と米国で難病の子供たちを助ける団体を設立して続ける慈善活動もある。問題は、03年に大リーグ機構(MLB)が薬物禁止規則制定の準備で実施した“調査検査”で陽性反応が出た選手の一人との報道だ。09年のニューヨーク・タイムズ紙の特ダネ。調査結果の非公開を選手会に約束していたMLBは慌てた。オルティスは弁解せず、「ビタミン剤と一緒に使ったサプリメントが04年の禁止規則で違反とされた。使用はやめた」。この扱いは…。

 先週、ロブ・マンフレッド・コミッショナーは「薬物禁止規則施行の前後に“またがる選手”に対して、殿堂入り投票権を持つ記者は留意してほしい」と言った。そして、オルティスについて「彼は04年にMLBによる厳しい“ドーピング規則”が施行されて以来、あらゆる検査で一度として陽性反応が出たことはない」。潔白の主張から、弁解に逃げ、最後は謝罪の薬物汚染選手とは違う、とのニュアンス。

 ネットでオルティス名場面集を見た。最高のシーンは13年ボストン・マラソン爆弾テロ事件後の球場での演説。「いま俺たちが着ているホーム用ユニホームは、レッドソックスでなく、ボストンと書いた特製だ。市警の活動に感謝する。この街は“くだらぬ都市”だが、人の自由を奪えるやつなどいない。これからも強くあれ」。“くだらぬ”は仮の訳、「F」で始まる使用禁止用語。これが実況中継で東部一帯に流れた(録画はピー音で消された)。いつも本音のリーダー、人気は当然、殿堂入り確実だろう。 (野次馬)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る