球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

“三振”したのに軽すぎる…パドレスGMへの処分

[ 2016年9月25日 05:30 ]

 今月15日、パドレスのA・J・プレラーGMが大リーグ機構(MLB)から30日間無給の職務停止処分を受けたことが発表された。7月にレッドソックスに放出したドルー・ポメランツ投手の医療情報すべてをレ軍に公開しなかったためだ。MLBでは全球団から集めた選手の詳細な医療情報を「サットン医療システム」と呼ぶ中央センターに蓄積し、トレードに関わる球団がアクセスして選手の故障歴などの情報を得られるようにしている。選手の完全情報を知り、公正なトレードを確保する制度だ。

 ところがパ軍は、プレラーGMの指示で2種類の選手ファイルを作り、完全版は球団内にとどめ、MLBに簡略版を提出した。「だますつもりはなかった。単純ミス」とプレラーGM。メディアは首をかしげた。「トレードで相手球団をだまさない」と約束する規則を破ったGMに軽すぎる処分、というのだ。「禁止薬物とは知らなかった」という汚染選手の弁解よりお粗末、とスポーツ専門局ESPN。それに、いまGMを職務停止にしてもパ軍は困らない。GMが動きだすポストシーズン後でなければ罰の意味はない。「ドラフト指名権剥奪、国際選手獲得制限。この両方を科すべき」とはニューヨーク・タイムズ紙。

 メディアの厳罰論は、プレラーGMの処分歴から生まれた。レンジャーズGM補佐時代、外国選手交渉規則に違反して職務停止に。今季7月のマーリンズとのトレードでも、放出したコリン・レイ投手が移籍後初の試合で故障発生、肘の故障が発覚して、返却された。「彼は“三振(3度目のミス)”だ。薬物選手なら永久追放」との声もある。MLBが調査内容を公表しないのもメディアを熱くした。「MLBのフロント処分はいつも甘い」と選手会から一言ありそうだ。 (野次馬)

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