球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

時短目指し投手交代に制限案も…選手会は反発必至

[ 2016年9月11日 05:30 ]

 野球は守る側がボールを支配しているユニークなゲームだ。そのため、時間がかかる要素を初めから持っている。ポストシーズン進出に向け、慎重な継投が増え、試合時間がさらに長くなった。ジャイアンツは左投手7人を含む14人の救援投手をブルペンに詰め込む。対カブス戦では延長13回の負け試合で10投手を使った。ドジャースは救援投手13人体制だし、ナショナルズはメッツ戦で8人の打者に6人の投手を投げさせた。

 長時間試合に悩む大リーグ機構(MLB)は、変形シフト守備の禁止、投球間隔の時間制などとともに投手交代に制限を設けたい考えだ。「野球は伝統を大切にするゲームだが、これまでもさまざまな規則変更で進歩してきた」とロブ・マンフレッド・コミッショナーは選手会に呼びかける。巨額な中継権料をもたらすテレビ局からの圧力もある。「00年は1試合平均6・89人の投手が昨季は7・88人。今季はさらに増えている。これでは試合からアクションを奪う」。

 試合規則の変更は選手会の了承が必要だ。現行の労使協定は12月1日で終了する。MLBは新労使協定と合わせて「野球規則」の変更も、と祈るような思い。変形シフトも投手の分業も“野球の進歩”の中で生まれた。ビデオ判定導入とは性格が違う。「選手、ファンが慣れ親しんだ野球文化を変えるのはまずい」と言うのは昨季のサイ・ヤング賞投手ダラス・カイケル(アストロズ)。加えて投手交代制限は選手の不利益につながる。投手の人数が減らされる可能性だ。

 野球文化を変える規則でもDH制(職場が増えた)やコリジョン規則(負傷防止)など、得になれば選手会は受け入れた。しかし、損をする変更には…。交渉難航ではなかろうか。 (野次馬)

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