球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

駆け抜けるor滑り込み どっちが速い?

[ 2016年8月21日 05:30 ]

 21日(日本時間22日)にリオ五輪が終了する。この大会で野球が話題になったのは開会前の国際オリンピック委員会(IOC)総会で次回の20年東京大会で野球・ソフトボール競技の復活決定ということぐらい…。ところが米国では陸上女子400メートル決勝後の論争に野球が登場した。アリソン・フェリックス(米国)が五輪通算5個目の金メダル獲得、と思われたゴール前、ショーニー・ミラー(バハマ)が“ヘッドスライディング”で、ゴールに飛び込んだ。写真判定、0秒07差でミラーが勝った。

 ネットには「汚い勝ち方」との声が渦巻いた。「ミラーのダイビングは規則上完全に合法。走者の上半身のどこかの部分(頭部や指、腕ではなく)がゴールラインにタッチでレース完了」と指摘。そして「野球では長い間、ベースを駆け抜けるのとヘッドスライディングとどちらが速いかの論争が続くが、結論は出ていない」(ニューヨーカー誌)。野球専門のメディアも「記録された最初の盗塁は大リーグが組織される以前の1865年の試合。以来積み重ねられた選手たちの経験では、一塁に走る場合、完璧なタイミングでのヘッドスライディングは走り抜けより速いが、少しでも狂うと地面との摩擦でスピード激減、走り抜けろ、というものだ」。

 五輪男子短距離で金メダル4個のマイケル・ジョンソン氏はコラムで解説。「ミラーのダイビングは、倒れかかった動きに任せたもの。意図したダイビングはスピードを落とす」。米国ファンもフェリックスのダイブなら「汚い」どころか「勇敢」と褒めたはず。大リーグのヘッドスライディングは、ピート・ローズ氏の看板プレーだった。論争も得意な人だから氏のコメントも欲しかった。 (野次馬)

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