球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

球宴に11人送り込むカブス編成本部長の手腕

[ 2016年7月10日 05:30 ]

 オールスター戦は、投手以外のポジションの選手をファン投票で選ぶ。その心は、「ファンが監督になり先発メンバーを書く」ことにある。発表された先発の顔ぶれに「今季球宴の“勝者”は、カブスのセオ・エプスタイン編成本部長」と野球メディアは称賛した。

 ナ・リーグ先発内野手は全員カブス、エプスタイン氏が集めた選手だった。一塁・リゾ(レッドソックスGM時代にドラフト、後トレード)、二塁・ゾブリスト(FA獲得)、三塁・ブライアント(ドラフト)、遊撃・ラッセル(トレード)。さらに外野でファウラー(トレード)の5人。70年にファン投票が復活して以降、1球団から5人の先発選手を出すのは76年のレッズ以来だ。監督と選手が選ぶ投手陣でもアリエッタ(トレード)、レスター(FA獲得)の2人。まだいる。ア・リーグのレッドソックスからの先発4人もエプスタイン氏がレ軍GM時代に集めた選手。遊撃・ボガーツ(ドラフト外)、外野のベッツとブラッドリーはドラフト指名。DHのオルティスは03年に年俸1億3000万円の安価なFAで獲得した。「球宴史上同じ人間の、指紋がついた選手が11人も集まるのは初」だ。

 エプスタイン氏はレ軍GMとしてチームに86年ぶりのワールドシリーズ勝利をもたらしたが、11年末にフロント人事のもつれで辞任、カブスに5年契約で迎えられた。選手集めの3年間は負け越したが、昨季、レイズからジョー・マドン監督を引き抜き、7年ぶりにプレーオフに進出した。今季は開幕から独走でカブス長年の夢、108年ぶりのワールドシリーズ制覇に挑む。夢の実現はともかく、選手集めの名手なのは間違いなし。エプスタイン氏の契約延長だけは確か。(野次馬)

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