球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

地区シリーズの遺恨「電子機器」で再びスイッチオン

[ 2016年6月5日 05:30 ]

 さまざまな電子機器が球場に持ち込まれ、さまざまなデータが集められる。そして妙なトラブルも発生する。先週、メッツ戦でニューヨークに乗り込んだドジャースは試合前、メ軍に「レーザー距離測定器で外野数カ所の距離を測らせてくれ」と頼んだ。外野に目印を置きベンチからの距離を測定し、外野手の守備位置移動の参考にするためだ。ところがメ軍は、返事の代わりに、大リーグ機構(MLB)に「レーザー距離測定器の使用は許されるのか?」と問い合わせた。ド軍のデーブ・ロバーツ監督は怒った。「試合中の電子機器の使用は禁止だ。そこでメッツに許可を求めたが、これは儀礼的なもの。我々はビジターのこの種の希望は全てOK。MLBは関係ないはず」

 メ軍のサンディ・アルダーソンGMの言い分は違う。「ド軍から問い合わせはなかった。球団職員から、ド軍が試合中に何らかの機器を使用し守備の指示をしていると推測できる動きを見た、との報告がある。規則違反ではないか」。昨季の地区シリーズでド軍の二塁手アットリーが併殺崩しのスライディングでメ軍の遊撃手テハダの足を折った。メ軍は正遊撃手なしでワールドシリーズを戦い敗れた。以後、両チームに敵対関係が生まれていた。その一端を表す騒動だ。さらに、ド軍の左翼手ケンドリックが守備の間にポケットから何かを出して見ている映像がファンによってネット上にアップされ、記者たちに囲まれた。「紙に書かれた守備位置を確認しただけ」だった。

 ド軍の外野守備移動による得点防止数は30球団中13位、新兵器の効果は限定的だ。ベンチのコーチが手を振って外野手を動かすほうがカッコいいのではなかろうか。騒ぎをよそにMLBは沈黙したままだ。 (野次馬)

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