球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

新薬に昔の薬も…果てしない薬物いたちごっこ

[ 2016年5月15日 05:30 ]

 大リーガーの薬物違反が止まらない。先週、ロイヤルズの遊撃手モンデシーが50試合出場停止になった。昨年ワールドシリーズで史上初の大リーグデビューした大物新人。故国ドミニカ共和国の薬局で買った風邪薬に禁止薬物が含まれていた。説明書を読まずに服用した不注意なので、80試合停止が50試合に減刑された。とはいえ、出場停止は今季開幕から5人目。とんでもないリバイバルも起こった。70~80年代に五輪を揺るがせた「昔の薬」の復活だ。

 旧東ドイツの製薬会社が開発し、国が五輪選手育成で集めた子供たちにビタミン剤と偽って飲ませ続けた筋肉増強剤ダイアナボルが、ブルージェイズの一塁手コラベロ、フィリーズの左腕スタンプ(ともに80試合出場停止)から見つかった。国家ぐるみのドーピングは東西ドイツが統一した90年以降に明らかになり、製薬会社とドイツ五輪委員会が被害選手に賠償金を払った。この違反薬物は服用後短時間で発見が難しくなるが、大リーグ機構(MLB)は高精度の検査技術を開発して見つけた。ニューヨーク・タイムズ紙は、米国で販売されているサプリメントにダイアナボルが含まれているものが多い、というカナダの反ドーピング機関の専門家の見解を伝える。「サプリメントの原材料に製品管理が甘い中国製のものが使用されている。我が国の選手には米国のサプリメントはノーと言っている」

 毎年登場する新薬に加え昔の薬もはびこり、悪の選択肢は増えるばかり。「検査回数を増やし罰則強化を」とタイガースのエース右腕バーランダー。果てしないいたちごっこが続いている。 (野次馬)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る