球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

的外れ!?“ヒゲ禁止令”マーリンズに微妙な空気

[ 2016年2月28日 05:30 ]

 イチローが所属するマーリンズのオーナー、ジェフリー・ロリア氏は、大リーグ一の嫌われ者だ。93年創設の若い球団だが、ワイルドカードから勝ち上がり2度ワールドシリーズを制した。ただし王座に就いた翌年は経費削減で中心選手を放出する。順位降下、観客激減で赤字。それで大リーグ機構(MLB)が金満球団から集めた利益分配金を救済金として受給し“黒字”にする経営。好かれるはずがない。

 MLB、選手会から警告を受け、「分配金は補強費に回す」といった今季の“目玉”がドジャースから迎えたドン・マッティングリー監督と薬物使用疑惑の最多本塁打記録保持者バリー・ボンズ氏の打撃コーチ就任、これが補強?そして、選手には「ヒゲを生やすのは禁止」。

 「喜ぶ選手がいるとは思わない」と救援投手のマイク・ダン。ただし、下半分がヒゲでおおわれていた昨季の顔は、きれいにそり上げられていた。困惑するのは23歳のエース、ホセ・フェルナンデス。「ヒゲなしだと16歳に見られてしまう…」。ボンズ氏は丸刈りで頭髪もヒゲも関係ないが、マッティングリー監督はヤンキースの花形一塁手時代、口ヒゲを生やしたため試合に使ってもらえずベンチに座っていたことがある。「特例でヒゲOKの選手がいた。規則は平等に、と抗議のため」という。ワンマン・オーナーのスタインブレナー氏に反抗した見事な反骨ぶり。しかし、今度は「個人的にはヒゲは自由だが、決まったことは守ってもらう」。

 多くの若手選手がヒゲを楽しんできたマーリンズだが、6年連続負け越しだ。嫌いなオーナーのピント外れの命令でも従うしかない、とAP通信はチームの微妙なムードを伝えている。(野次馬)

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