球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

悪評まみれのアストロズ 名将・ベーカー監督指揮に 揺れるファンの心

[ 2020年10月11日 02:30 ]

 アストロズは球界とファンの憎しみの的。17年のワールドシリーズ(WS)をサイン盗みで勝利した。悪評まみれのア軍がWSまであと4勝のリーグ優勝決定シリーズをレイズと戦う。

 ア軍の今季は29勝31敗の負け越し。それがプレーオフ出場枠拡大で拾われた。コロナ禍の緊急対策が生んだ“鬼っ子”、球界内外に反ア軍の声が渦巻く逆境からの脱出を託されたのが1月に就任したダスティ・ベーカー監督(71)だ。「球界で尊敬され、ファンにも愛される老将」とニューヨーク・タイムズ紙は大勝負に挑む姿を報じた。

 ベーカー監督は選手生活19年、監督生活は23年目。ア軍を含め指揮した5球団全てをポストシーズンに導いた最初の監督だ。「ユニホームを着て果たすべきワン・ピースが残っている」と、ジャイアンツ監督で1度出場して勝てなかったWS制覇を目指す。

 監督スタイルは、的確に繰り出す「愛情あるタフな要求」とOB選手たち。「楊枝(ようじ)をくわえてマウンドに来て、こちらの目を見て“おまえがベストだから出した。さあ、仕事を果たせ”。本当に信じているのが分かる。燃えるね」。2500年前の中国の兵書、「敵を知り、己を知れば百戦あやうからず」で有名な「孫子」を読まされ、引退後の今もバイブルにしているOB選手がいる、と同紙記者が伝えると、「彼は知的好奇心が強いので本を渡した。動機づけの方法は選手それぞれに合わせる」。

 かつて選手との対話は移動中の飛行機後部席でやった。「今の後部席はヘッドホンをつけた選手やビデオゲームの選手で満席だ」。ぼやく老監督を伝える記事が好意的だ。ネット上のファンの声。「ベーカー復帰はうれしいが、ア軍監督だけはやめてほしかった。気持ちは乱れる…」。(野次馬)

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