球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

MLB無観客試合で新たな悩み…中継局を困らせる選手の「放送禁止用語」

[ 2020年9月13日 06:00 ]

 シーズン終結の27日(日本時間28日)まで2週間、厳しい日程のラストスパートだ。“ゴール”は10球団から16球団に広がったポストシーズン枠への飛び込みだが、無観客試合の中継は熱戦でも見ていて物足りない。ファンの声がないためだ。そこで大リーグ機構(MLB)は、全球団にiPadを配り、MLBのビデオゲームの音響を中継の効果音に、と開幕で提言した。

 「グッド・アイデア」と各球団は音づくりに取りかかったが「試合中の自然な音を人工的につくるのは科学と芸術の結合が必要。簡単にはつくれなかった」という。

 例えば、選手がフライを打ち上げた時。打ったのは自軍か敵軍か。「本塁打」か「平凡な外野フライ」か。それによって歓声の質が違うのだ。各球団は過去の試合中継から音声を抜き出し、主要プレー場面の音声データベースを作製。しかし、実際の中継画面に合う音声を瞬時に取り出して流すのは「オーケストラの指揮者並みの技術が必要」だった。音量も難しい。大きくしすぎて「ベンチで会話ができない」とクレームも出た。

 中継局の悩みは、選手が感情を爆発させて発する悪態だ。多くが放送禁止のわいせつ語で、それを消す“ピー音”が間に合わない。アストロズのジョシュ・レディック外野手が小フライを打ち、内野手捕球の画面外からレディックの大声のわいせつ語。アナが「ソーリー(失礼)」と謝罪した。

 禁止用語で思い出した。日本球界の「インコース」、「アウトコース」は和製英語で、米国では通じない。特に内角は発音が似ている「インタコース=性交」と間違われ、妙なことになる。42年前、日米野球で来日したレッズのジョニー・ベンチ捕手に教わった。「インサイド」、「アウトサイド」が正しい英語。日本の野球関係者はご注意を。(野次馬)

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