球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

ジャッキー・ロビンソン・デー“前夜祭”に42秒の黙とうで抗議表明

[ 2020年8月30日 05:30 ]

 黒人男性が警官に背後から拳銃で撃たれた。現場のウィスコンシン州ケノーシャはブルワーズの本拠地ミルウォーキー近郊だ。

 5月にツインズ本拠地ミネアポリスで黒人男性暴行死事件。“黒人の命は大切だ”運動が起こった。「またか」の事件3日後の26日、ブルワーズの選手らは抗議表明でレッズ戦をボイコットした。すぐ2球団が続き、27日には7試合が延期となった。

 野球は球場内での社会問題への抗議に距離を置いてきた。人種差別と言っても、黒人(アフリカ系米国人)選手は少ない。昨年10月時点で882人の大リーグ契約選手のうち黒人選手は68人と問題は起こりにくい。どんな話し合いが行われたかほとんど分からない。

 ポツポツと漏れる情報を集めたスポーツ専門局ESPNによると、社会問題に関心を持つ選手の存在だ。ブ軍では選手会役員のブレント・スーター投手が過去にブ軍に在籍した旧知のレ軍マイク・ムスタカス内野手に連絡した。

 ドジャースはムーキー・ベッツ外野手が「試合に出ない」と表明、クレイトン・カーショー投手の賛同が皆を一つにした。拒否発表でベッツ(黒人)、カーショー(白人)、デーブ・ロバーツ監督(黒人で母親は日本人)、抑えのケンリー・ジャンセン投手(オランダ領キュラソー島出身)が並んで人種平等を訴えた。

 メッツは拒否試合のマーリンズ戦で儀式をした。両軍選手がユニホーム姿で、メ軍が守備に就き、残り選手とマ軍選手はベンチ前に並ぶ。先頭打者が打席に入ると全員が帽子を取り42秒の黙とう。4月15日から8月28日に移した「ジャッキー・ロビンソン・デー」の“前夜祭”。42秒は初の黒人大リーガーの背番号に合わせた。「42秒のためにマイアミから飛んできた」とぼやくマ軍選手がいたらしいが、ド軍、メ軍、演出が粋だ。 (野次馬)

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