球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

かつてはハグも「ノー」。時代とともに変わりゆく

[ 2020年8月23日 08:00 ]

 書かれざるルールがある。「クラブハウス内での話、出来事は外部に漏らすな」とか、「乱闘には全員参加」…など、同志的結束やマッチョ文化の強調が多い。レンジャーズ対パドレス戦で起きたパ軍、フェルナンド・タティスJrの3ボールからの満塁弾。「大差の試合ではノースリーで強振してはいけない」の規則を破った一発。書かれていない「暗黙の了承」を集めた本がある。「野球用語辞典」で著名なポール・ディクソン氏(81)の、「メジャーリーグの書かれざるルール」(翻訳・朝日新聞出版)に明記の“武士の情け条項”だ。

 怒った相手のレンジャーズは、交代投手のイアン・ギバウト投手が次打者の背後を通過する警告投球。これでレ軍クリス・ウッドワード監督は1試合出場停止、危険投球のギバウト投手は3試合出場停止(異議申し立て)となった。

 主役のタティスは、父も元大リーガーでドミニカ共和国出身の2年目。昨季84試合、打率・317、22本塁打、53打点。今季も本塁打(12本)、打点(29)で両リーグの首位を走るスーパースター候補。本人は「多くの不文律を知っているが、今回のは把握していなかった。好球が来たので反射的に打ってしまい…」。パ軍のジェイス・ティングラー監督は「サインはテーク=待て。まだ若い」と共に伝統尊重で謝罪モード。

 ネット上の声はタティス支持があふれた。「なれ合いの不文律など無用、どんな状況でも打ちまくれ」。「やってはいけないのは本塁打しての謝罪」。ヤンキースのアーロン・ブーン監督は「大昔の習慣法、多くは時代錯誤」。かつてハグは「ノー」だった。時代は不文律も変えていく。(野次馬)

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