球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

こんな時に…始球式巡りヤンキースで“番外騒動”

[ 2020年8月2日 05:30 ]

 新型コロナウイルスの感染拡大で、各球団は綱渡りの試合を続ける。感染警戒の緊張の日々の中、ヤンキースに“番外騒動”が起こった。

 1週間前、トランプ大統領が「招待され、8月15日のヤンキースタジアムで対レッドソックス戦の始球式を行う」と発言した。ヤ軍もホワイトハウスも初耳だ。ホワイトハウスの護衛担当部署が機密日程で確認しても予定なし。困惑していると「ウイルス対策で多忙。始球式キャンセル」との大統領発表で騒動終了。

 ワシントン・ポストとニューヨーク・タイムズ2紙が報じた内幕は…。「ナショナルズが政府コロナ対策班のアンソニー・ファウチ博士(79)を開幕始球式に招待。大暴投が“最高の投球”と好意的に報道された。嫉妬した大統領が側近にヤ軍に招待依頼を指令。側近が大統領の名を隠したので、話はすれ違い、諦めた」。笑い話だ。

 ファウチ博士は84年から国立アレルギー感染症研究所所長。エイズ流行時にレーガン大統領に助言して以来、6代の大統領の疾病対策に関わる。トランプ大統領の甘いコロナ対策会見で、小柄な博士が反対意見を話すのが小気味よいが、解任されないのが不思議だ。

 エイズ対策当初、死者が続出した。メディアは博士を「死のドクター」と責めたが、レーガン大統領は信頼し、時が博士の正しさを証明、国民的ヒーローに。メディアと庶民が支える知的セレブはトランプ大統領にとって苦手。解任できないのだ。ニューヨーク生まれの博士は、少年時代はヤンキースファン、公職でワシントン住まい以降はナショナルズファンというのも人気に関係あると思うがどうだろう。(野次馬)

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