球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

MLB開幕目前に相次ぐミス コロナ感染検査ラボに募る不安

[ 2020年7月19日 05:30 ]

 米国での新型コロナウイルス感染者が1日7万人を超えた。再開した経済活動から「封鎖」に戻る都市が続出する。感染選手、出場自粛選手の数も日ごとに増え、審判員も11人が出場辞退…。23日(日本時間24日)の開幕目前の状況悪化に、大リーグ機構(MLB)が感染検査のため契約した民間ラボ(研究機関)の内情をスポーツ・イラストレーテッド誌とワシントン・ポスト紙が報じた。ともに「ラボは信頼できるのか」を問う内容だ。

 見方が厳しいのは選手、球団の不安を反映している。今月初めのキャンプインに関わる検査にミスが重なった。鼻孔と口から採取した検体は各球団からユタ州ソルトレークシティーのラボに送られ、24時間後に各球団に結果が知らされる。だが、5球団の結果報告が72時間後に遅れ、練習がキャンセルされた。

 陽性を陰性と誤ったのが1件。「逆の誤りなら選手は隔離になるから対応できるが、このミスは感染を広げてしまう」とある球団関係者。検体紛失が1件。土、日にラボが休日なのも球団の不信を募らせた。「MLBもラボも新体制構築で大変なのは承知している。しかし、この状態ではシーズンは消える」と複数球団のGMたちは言う。

 ラボは02年にスポーツ界のドーピング検査のため創業。MLBは最大の顧客で、今年初めにMLBから新型コロナ検査を持ち掛けられ新機材を整えるなど準備中だった。

 シーズンが始まると、毎週1万4000もの検体を調べ、遅くとも48時間以内に結果報告が必要だ。ラボはこの難題処理に自信を見せるが、ワシントン・ポストはこう書いている。「求人サイトで、ラボの“唾液検査で新型コロナウイルスを探すチームに加わる職員募集”を見つけた」。そして「就業時間は週末も含む」とある。人材は集まるだろうか。(野次馬)

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