球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

歴史ある球団名に残る人種差別問題

[ 2020年7月5日 05:30 ]

 国とともに大リーグも新型コロナウイルス感染と人種差別問題との闘いが続く。ツインズが差別発言した前オーナーの銅像を球場前から撤去した。すると、MVP受賞者たちが、大リーグ機構(MLB)から授与される飾り盾から、初代コミッショナーのケネソー・マウンテン・ランデスの名を外し「他のデザインに変えるべき」とMLBに訴えた。

 理由は、コミッショナー在任の1920年から亡くなる1944年までの独裁の25年間、「黒人の大リーグ入りを阻み続けた人物だから」。ランデスは1919年ワールドシリーズの八百長事件処理で急きょつくられたコミッショナー職に招かれ、8選手を永久追放し球界の信用を回復させたが、「その功績とは別問題」と選手たち。MVP選手が授与された飾り盾の名前に不快になっている。名前は消えるしかなさそうだ。

 球団名も問題だ。インディアンスは、球団名とロゴの漫画のワフー族長が、ブレーブスはオノを振る応援ジェスチャーが先住民蔑視と変更要求運動が長年続く。これにレンジャーズが加わった。「テキサス・レンジャーは、先住民、メキシコ人、黒人の人々への収奪、暴力行為、虐殺の暗い歴史を持つ。球団名の変更を考えるべきでは…」。有力紙シカゴ・トリビューンの提言だ。

 レンジャーは1820年に誕生した自警組織。メキシコとの国境警備から始まり、今は200人ほどの小組織だが、その長い伝統で親しまれる。球団は「創立から地域への貢献に力を尽くしてきた。さまざまな基金も創設し、人々に親しまれ誇りとなった球団名を変えるつもりはない」。歴史を今の価値観で単純に裁くのは難しい。(野次馬)

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