球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

統率力なきコミッショナーVS不ぞろい30球団 MLB開幕騒動、いまだ決着せず

[ 2020年6月21日 02:30 ]

 コミッショナーが連絡係となり右往左往する労働争議は球界初だ。「球界は開幕日も決められずよろめくばかり。コミッショナーの一貫性のない言葉のためだ」とニューヨーク・タイムズ紙。「2020年シーズン実施を100%確信する」。ロブ・マンフレッド・コミッショナーはそう断言した6日後に、「開幕に確信が持てない」と嘆いた。

 厳しい批判も当然だが、公平、中立な立場で球界を統率…そんな“コミッショナー神話”は92年、時のコミッショナー、フェイ・ビンセント氏を「選手会寄りだ」とオーナーたちが辞任に追い込んだ時に終わった。後を継いだブルワーズのオーナー、バド・セリグ氏は5年間「代行コミッショナー」に。98年から正式にコミッショナーとなり15年まで在職した。この間、2リーグ、30球団を大リーグ機構に集め、大リーグ会社のCEO(最高経営責任者)に徹して大娯楽産業を築き上げた。いわばオーナーの利益代表、代理人だ。

 マンフレッド氏は国際弁護士事務所で大リーグ担当になり、セリグ氏に見込まれその右腕となった。セリグ氏の後継コミッショナー選びのオーナー会議ではマンフレッド氏のほかに数球団のオーナーが候補に手を挙げた。承認を得るには23球団の賛成が必要だ。マンフレッド氏が23票集めるまで6回の投票が行われた。激戦は年俸10億円といわれるポストだから当然だ。反対7球団は自然と思うが、今回の選手会との交渉でも、「5、6球団はシーズン中止を主張」との報。30球団をまとめられないコミッショナーも問題ともいえるが、選手会が「多くの試合、少ない減俸」と打つべき球から目を離さないだけに、オーナー側のバラバラ対応が目立つ。どちらが勝つのやら…。 (野次馬)

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