球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

試合数1/3の強行開催で「シーズン」と呼べるのか

[ 2020年6月14日 05:30 ]

 ドラフト会議が終了した。1球団5巡目までに定められた指名順の間にFA補償や戦力バランスをとる指名枠が入る。それで計160人が指名された。例年は1球団40巡目まで、1300人ほどの名が挙がるのだから大縮小。来年からは例年の半分にあたる20巡目までの指名になる。2年連続で選手の年俸総額が下がり、さらにコロナ禍。経営刷新は待ったなしだ。

 ところで独立記念日7月4日(日本時間5日)の開幕は労使交渉が進まず難しくなった。交渉の流れはオーナー側のペースだ。少しでも年俸カットを抑えようと試合数増を主張する選手会。無観客試合は1試合あたり約7000万円の赤字となる。一方、オーナー側は選手の助け(年俸カット)がないなら、試合数を減らしてシーズンを成立させ、プレーオフ進出を10球団から16球団に増やして稼ごう(これには選手会も賛成)と言う。

 5月下旬からの交渉で選手会が繰り出した試合数の提案は、ブロック塀に卵を投げつけたようなありさまで、全てつぶれた。「シーズンが11月に入ってもいい」と選手会は言うが、オーナー側は「レギュラーシーズンは9月中に終了」を目指す。新型コロナウイルスの第2波が予想される冬の前にプレーオフを始めるためだ。

 時間だけが過ぎる中、ロブ・マンフレッド・コミッショナーがドラフト前のスポーツ専門局ESPNのインタビューで、「2020年シーズンが行われるのは100%確かだ。我々には試合数を決めて実施する権利がある」と強行開催をほのめかせた。強行開催なら45~50試合とメディアは予想するが、大リーグ機構(MLB)にもレギュラーシーズン162試合の3分の1に満たない試合数で「シーズン」と呼べるのか、のジレンマがある。双方妥協なしで自滅の道を進むのか…。 (野次馬)

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