球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

大リーグで論争「TJ手術は“不要不急”か」非難の声に沈黙

[ 2020年4月5日 05:30 ]

 メッツのノア・シンダーガード投手とレッドソックスのクリス・セール投手が3月末に相次いで肘じん帯再建手術(トミー・ジョン=TJ手術)をした。新型コロナウイルス感染爆発で開幕の見通しは立たない。「手術後試合復帰まで1年から1年半のリハビリ期間に試合のない空白日を取り込める」。そう考えたのだろう。

 論争が起こった。コロナウイルス感染対策に追われ医療機関が崩壊寸前の危機に「不要不急のTJ手術」という非難。経緯は「スポニチアネックス」2日付の大林幹雄記者のコラムに詳しい。

 本コラムはその「続編」。メッツのピート・アロンソ一塁手は両投手を弁護した。「選手が自分の職を懸けて決断した手術を非難できる者など誰もいないはず。まして手術はウイルス感染症との闘いの最前線にいる医師たちとは別の外科手術だ」。両球団はエースの手術に細心の注意を払った。院内感染を警戒し、同時にウイルス対策医療チームに迷惑を掛けないことが重要だ。それがなぜ論争を招いたのか。セールの手術は3月30日カリフォルニア州ロサンゼルスで。問題は、コロナウイルス感染ホットスポットのフロリダ州ウエストパームビーチで3月26日に手術したシンダーガードだ。3月20日に州当局は「コロナウイルス感染防止に医療機関の全力投入。“不要不急”の手術は禁止」の命令を出していた。

 メ軍は、手術は必要不可欠、ウイルス対策に迷惑は掛けない、と押し切った。「手術が“必要”は分かる。だが“緊急”でなくてもよさそう」との非難にメ軍は沈黙した。リハビリが21年で済むか22年に及ぶかはチームの大問題。本音を言えば「球団利益を国難の上に置く」と大炎上は必至…。 (野次馬)

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