球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

米のコロナ対策失敗映し出すMLBの後追い策

[ 2020年3月15日 05:30 ]

 新型コロナウイルス感染拡大で大リーグ機構(MLB)は26日(日本時間27日)のレギュラーシーズン開幕を最低2週間延期と発表した。この決定は、感染予防で選手と記者との接触遮断のため、ロッカールームへの球団関係者以外の立ち入り禁止を決めた2日後だ。

 取材は通路にロープを張り選手と記者の間を2メートルほど離して行う。「メディアの締め出しはおかしい」と言う選手がいたのは、ウイルス対策を全く理解していなかったのだ。「選手の保護対策だけだ。ファンはどうするのか」とのメディアの指摘を追いかけて、オープン戦も中止に。MLBの後追い策が続く。

 すでにウイルスはMLBの想定を追い越した。マリナーズはワシントン州知事の非常事態宣言、「250人以上の集まりは禁止」の処置で本拠地シアトルでの対レンジャーズ開幕4連戦を断念した。カブス、ホワイトソックス(ともに本拠地はシカゴ)のイリノイ州は州知事が「無観客試合の考慮を要望」と、スポーツ専門ネットメディアが伝える。非常事態宣言、多人数の集まり禁止の州が続出だ。

 2週間後にあたる4月9日(同10日)は162試合消化できる最終ラインで決まった。「選手のストライキで5月開幕になった95年は144試合だ。ことは国民の健康問題、試合数にこだわるべきではない」と試合数減を覚悟するオーナーもいる。シーズン最終日は9月27日(同28日)、これをはみ出すには選手会との労使交渉が必要だ。そしてポストシーズンの試合日程スライドでまた問題発生に…。

 ただしMLBだけを責められない。トランプ大統領が「世界一」と豪語した米疾病対策センター(CDC)がお手上げ。公共テレビで高位職員が「準備不足で初動に失敗」と認めた。MLBはその姿を映したのだ。 (野次馬)

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