球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

アストロズのサイン盗み騒動 コミッショナーの対応に怒り

[ 2020年3月1日 05:30 ]

 不正サイン盗みのアストロズ選手を一人も罰せず、GMと監督の処分で済ませたロブ・マンフレッド・コミッショナーは、ファンと選手の激しい反発に立ち往生だ。オープン戦前に出した「ア軍選手への“警告球”には処分」との声明を選手は完全無視。ア軍は5試合消化時点で7選手が死球を受けた。異様な展開にコミッショナーは恒例のキャンプ巡りを切り上げ、30球団オーナーと緊急電話会議をしたが、妙案が出るはずもない。

 「選手多数が関わるこの種の事案は時間をかけて処理すべきだった。ところが、労務弁護士出身のコミッショナーは、他人の犯罪を話せば刑を軽減する“司法取引”の手法を使った。球界には仲間を守る文化がある。“告げ口強要”での処分が反発を買った」と元大リーグ機構(MLB)幹部。ニューヨーク・タイムズ紙は、マンフレッド氏を「長く労務担当理事として卓抜な能力を発揮した。最高のNo・2だったが、トップになってその官僚くささが逆作用した」と指摘する。「野球よりゴルフ好きのハーバード大学法学部出の傲慢(ごうまん)なエリートを選手は嫌った」というのだ。そしてメディアが「最後のコミッショナー」と呼ぶ2代前のフェイ・ビンセント氏の言葉を引用。「コミッショナーは野球の神話を信じるロマンチストであるべき」

 ファンと選手の怒りは「ア軍に17年ワールドチャンピオンと名乗らせず、優勝トロフィーを返還させるべき」との要求に対する、マンフレッド氏の「無理な話、それにトロフィーは単なる金属…」との身もふたもない回答でヒートアップした。五輪のメダルを「単なる金属」と言えば競技と選手への侮辱だ。神話を信じないリアリストへの反発、どうなることやら。(野次馬)

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