球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

サイン盗み騒動余波…“敏腕幹部”失ったレイズも被害者

[ 2020年2月9日 05:30 ]

 来週からキャンプ開始。球団が夢見る時だが、夢どころでない球団もある。「サイン盗み」のアストロズは大リーグ機構(MLB)のGM、監督の1年間職務停止処分を受け、2人を解任した。新GMはジェームズ・クリック氏(42)、レイズ在籍14年の編成のベテランだ。監督は現役監督最長老のダスティ・ベーカー氏(70)。レッズ、カブスなど4球団の指揮で全球団をプレーオフに導いた。1年契約で選手のモラル矯正を狙う。

 この騒動が飛び火。レッドソックスは監督が、メッツは就任したばかりの新監督が「ア軍在籍時に“サイン盗み”を主導」とMLB調査報告書で名指しされての解任だ。

 レッドソックスのアレックス・コーラ監督は、就任1年目でチームを王座に就け球団とは相思相愛、どちらも望まぬ「涙の離婚」になった。昨年10月、球団はGMを解任した。4球団でGMを歴任、3球団をワールドシリーズに進めた名GMだが、「金権補強」をオーナーが嫌ったのだ。レイズから編成部長を迎え、主力打者ベッツ、ベテラン投手プライスの高額年俸選手放出を策すレイズ流緊縮経営に転換した。「ボストン・レイズか」とファンは怒り、監督は空席のまま。

 メッツは昨年11月、カルロス・ベルトラン氏(42)を監督に据えた。現役20年、7球団での活躍は「ニア殿堂」クラス。監督就任は球団もファンも満足した。加えて迷走経営のオーナーが著名投資家に球団売却を表明。ファンは狂喜したが、ベルトラン氏は解任。オーナーが「売却後5年間経営権を持つ」との迷走条件を出し、売却も白紙でファンは絶望…。

 サイン盗み騒動の番外劇、最大の被害球団はフロント幹部2人を引き抜かれたレイズだった。 (野次馬)

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