球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

著名投資家がメッツのホワイトナイト?

[ 2019年12月29日 09:19 ]

 メッツのフレッド・ウィルポンCEO(最高経営責任者=83)が著名なヘッジファンド投資家スティーブ・コーエン氏に球団株式の80%を売却することで交渉中、と4日付のニューヨーク・タイムズ紙が報じた。「低迷メッツに救世主登場」と全米各紙が続いた。ところが翌日のタイムズ紙は「救世主はヒーローに程遠い」との見出しのコラム。マッチポンプだ。コーエン氏にはインサイダー取引疑惑歴がある、売却が成立してもオーナー会議の承認が得られるのか…と遠回しの指摘だ。

 コーエン氏の資産は1兆円という。危ない橋を何度も渡った成果だろう。そんな経歴のためか、30球団が集まるウインターミーティングでも身売りの続報はなく、売却は宙に浮いたまま年を越す。

 メ軍は金持ちの人気球団だ。経営に影が差したのは、米金融史上最大の詐欺事件に巻き込まれたため。犯人は禁錮150年で服役中。多くの有名人がだまされ被害総額は6兆円とも。「球団経営に影響する被害はない」とウィルポン氏は強弁したが、影響は選手年俸に表れた。事件発覚の08年の総年俸順位は3位、10年に6位に下がり、14年21位、今季は11位まで盛り返した。

 元メ軍担当のOB記者が身売りの理由をブログで明かした。息子のジェフ氏(57)をCOO(最高執行責任者)にしたが、球界での評判が最悪。自分の年齢からオーナーは相続税対策を考えた。そこで40年間所有した球団を手放す決断だ。ヤンキースの看板が重厚な常勝伝統なら、対するメ軍は都会的スマートさ。時代を映すカリスマ投資家が新オーナーというのも悪くない。 (野次馬)

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