球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

アストロズ敗因は失言による“雑音”?

[ 2019年11月3日 05:30 ]

 アストロズがワールドシリーズ(WS)で敗れたのは、この騒動のためとは思わない。しかし、ア軍はGM補佐が起こした女性記者への不適切発言への対応にフロントが混乱し、“雑音”の中での戦いを強いられた。

 騒動はア軍がヤンキースを破りWS進出を決めたクラブハウスで起こった。GM補佐が3人の女性記者に差別言葉を交えた暴言を浴びせた。「見たか。我々はオズナを獲得して勝った」。昨年夏、ア軍はドメスティックバイオレンス(DV)違反で75試合出場停止中のクローザー、オズナをブルージェイズから獲得した。オズナは今季38セーブと活躍。だが、メディアはクールな扱いだ。不満を募らせたGM補佐は女性記者が女性への暴力反対の紫色の腕輪をしていたのにキレた。

 これをWS開始前日、スポーツ・イラストレーテッド(SI)誌が報じた。MLB(大リーグ機構)は激怒した。WS第1戦の日、ア軍は「発言は選手を守るため。不適切な言葉を使ったことは謝罪する」と軽いコメント。SI誌の記事は「事実に反し読者をミスリード」と非難した。WS第2戦。「満足できる対応ではない」とMLB。現場にいた多数メディアも「SI誌の報道は正しい」と証言記事。慌てたア軍は「暴言は女性記者に向けた」と認めたGM補佐を即日解任した。

 WS第2戦翌日の移動日、ア軍は取り消しを忘れた発表コメントを取り下げ、SI誌に謝罪。オーナーは女性記者たちに自筆の謝罪文を送った。広報任せだったメディア対応にジェフ・ルノーGMが応じ、25の質問に「不適切」を13回、「誤り」を10回使って謝罪した。データ野球で強豪に変身したア軍の名声は傷ついた。MLBは独自調査を進め処分を考慮中という。 (野次馬)

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