球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

マイナーリーグを再編成 MLBの狙いは…

[ 2019年10月27日 05:30 ]

 今季の王座を決めるワールドシリーズ中、大リーグ機構(MLB)が全米各地に点在するマイナーリーグ球団に「現在の組織をオーバーホール(解体)し再編成」を提案し、話し合っている、との驚きの報。提案が現実になると、現在ある160球団は120球団に減る。消える40球団の職を失う選手は約1400人。全米野球地図を書き換える大改革だ。

 専門誌ベースボール・アメリカ(BA誌)とニューヨーク・タイムズ(NYT紙)が伝えたのだが、先行したBA誌の報道には黙っていたMLBは、NYTの記事を受け、声明を出した。「マイナー球団のオーナーたちと話し合っている。球場施設と選手のプレー環境をメジャーに近づけ、試合のための長時間バス移動の短縮で近辺の球団でのリーグに編成し直す。現在の3A、2A、1Aのクラス分けを現実の実力で改編。休日や給料も増やす…」。いいことずくめのPR。

 昨年3月、トランプ改革の余波でマイナー選手は「画家やピアニストと同じで、一般労働者ではない」とそれぞれの州の最低賃金規定から外れた。3A選手で年俸80万円はひどいが、MLBの給与増額案の財源はクビにする1400選手の給与、とメディアの指摘。

 規則が複雑なので単純化すると、大リーグ球団は、若手選手をマイナー球団に預け、指導者を派遣しその年俸と諸経費を支払う。この諸経費がマイナー球団の重要な経営資金で、MLBとマイナー球団は、プロ野球協定(PBA)を結び長年互いの自立性を尊重し運営してきた。現行協定は来年9月に失効だ。そこでMLBはマイナー支配を狙った。マイナー団体のトップは「改革の“苦い薬”というが、怒り、嘆くだけ」。クジラとイワシの戦い。結果は明らかだ。 (野次馬)

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