球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

「勝とうとしない球団」が招く観客減少

[ 2019年10月6日 05:30 ]

 ポストシーズンの熱い戦いが続く。ではレギュラーシーズンはどうだったのか。100勝以上の球団が史上初の4、100敗は史上2度目の4。「勝つ球団」とドラフト上位指名権を得るため「勝とうとしない球団」とに早々に分かれて、観客動員は12年連続減少で1試合平均2万8198人。04年から16年まで続いた3万人台回復は遠ざかるばかりだ。

 「球界にとって喜べるシーズンではなかった」とニューヨーク・タイムズ紙は指摘し、00年から今年までの年ごとのチケット売上数の推移を全30球団別に折れ線グラフで表示した。ヤンキースは新球場になった09年から減少に歯止めがかからない。一方レッドソックスは観客席が少ない古い球場でコアな固定ファンが多いため横ばい…と球団個々のチケット販売上の強みと弱みが一目で分かる。

 観客減少でも球界全体の収入は、今季も増収だった。球団独自のローカルやケーブルのテレビ局との中継契約のおかげだ。しかし、「球団のパンとバター(主食)はチケット収入。これは昔も今も変わりない」と大リーグ機構。ほとんどの球団が10年ほど前まで力を入れていた豪華なクラブ室や特別シーズン席の高額席を減らし、若者や家族ファンに目を向ける。拡大しているのが、好きな時に球場に入れる球場パス。球場内での飲食、グッズの購入でパスを使えば割引などのサービス付きがトレンドだ。

 観客減少の主因と選手会が怒る「勝とうとしない球団」対策に触れるメディアもある。シーズン162試合、「70勝できないチームは上位指名権剥奪」は説得力がある。今季は7球団もあるのだから。 (野次馬)

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