球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

編み物しながら観戦 浮世離れのぜいたくが流行

[ 2019年9月29日 05:30 ]

 今季も29日(米国時間、以下同じ)が最後、10月1日からはプレーオフだ。今季の1試合(9回)の平均試合時間は3時間10分で、史上最長になるのが確実という。長い時間が新しい野球観戦スタイルを生み出した。試合を見物しながらの「編み物」の流行だ。ニューヨーク・タイムズ紙がシアトル、トロント、ニューヨークで編み物をしながら観戦するファンを伝えた。


 野球は守る側がボールをコントロールし、試合の進行は時計時間を入れずアウトカウントで進めるスローな競技だ。そこで「昔から観客は本や新聞を読んだり、日光浴をしたり、居眠りしたり…」と同紙。これに編み物が加わったというのだ。


 添えられた編み物をして観戦中の写真は男女とも高齢者が多い。「試合を見ながらソックスやスカーフを編んでいる」というトロントの老婦人は「アイスホッケーのテレビ中継を見ながら編み物はできないわ。バスケットボールやアメフトもダメ。5秒目を離すと試合の状況が変わってしまう。野球が一番ね」


 実は編み物しながらの観戦が注目されたのは05年のシアトルだった。マリナーズが「編み物しながら楽しむ野球」の企画を試みたところ1000人もの観客が集まった。全米には編み物愛好家の団体が多数散在する。ネットで流れた感想が愛好家団体と多くの球団を結びつけた。ただしヤンキースは「編み針は金属製、危険物」と球場に持ち込み禁止、と相変わらずお堅い。


 時間に追われる日々、時間無視の野球場でのんびり編み物を進めながらの観戦、浮世離れのぜいたくではないか。 (野次馬)

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