球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

AI化進む現代 せめて野球は人間同士の対決を

[ 2019年8月4日 05:30 ]

 大リーグ機構(MLB)はプレーイング規則改定のため実験リーグを持っている。16年から大西洋岸5州とテキサス州東端に位置する8球団で構成する独立リーグ、アトランティック・リーグと提携し、新ルールのテストを続ける。スポーツ・イラストレーテッド(SI)誌は「MLBが探る未来の野球の実験室(ラボ)がアトランティック・リーグ」と呼んでリポートした。

 今季、実験中の野球は、暴投、捕逸の場合、打者はカウントに関係なく「一塁盗塁」が可能。投手は最低打者3人に投げるか、そのイニングを終わらせること。内野シフトは禁止、ベースの幅を7・7センチ伸ばし、塁間を15・4センチ短くした。2ストライク後のバントがファウルでも1回だけ許し三振とはしない…など。伝統破壊の乱暴な“改悪”と言いたい。

 そして最大の話題がロボ・アンプス=ロボット審判員の登場だ。デンマークで作られた投球軌跡の追跡機器「トラックマン」がストライク、ボールを判定し、イヤピースを着けた球審に知らせる新システム。完全人工知能(AI)化ではないため、かえって面倒になった。4月のシーズン初めから使う計画がずれ込んで、デビューは7月11日のリーグ球宴試合。ホームベースの幅で決まる内外角はいいのだが、打者の背の高さや打撃姿勢で決まる高低の判定が難しい。ホームベース前で弾んだボール球がストライクゾーンを通過して捕手のミットに。「ストライク」コールだ。ロボットと人間の判定が分かれた時の決定権は「球審」としているが、機器の精度が増せば人間は消えるだろう。「AIに仕事を奪われる時代。せめて野球は人間同士のゲームであってほしい」。ファンの声に同感する。 (野次馬)

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