球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

“飛ぶボール”疑惑と規則改定攻勢…選手会は抵抗できるか

[ 2019年7月21日 05:30 ]

 今季も本塁打と三振の増加が止まらない。共に新記録は確実という。おかしいと思ったことは、はっきり指摘するのがアストロズのエース、バーランダーだ。「大リーグ機構(MLB)は本塁打を増やすため飛ぶボールにした」。「ボールは以前と同じ」と主張するMLBは5月に10人の科学者による調査で「本塁打激増とボールの因果関係は不明」と発表した。

 打球角度で飛距離が増すとのデータ分析で、打者がフライ打法を採用した。投手が打者の技術進歩に遅れたのでは…との見解に「それとボールの変更は別」とたじろがない。そして「昨季まで投球の70%近くが速球系だったが、今季は52%程度に減らし、フライ打法に対応している」という。ストライクゾーン外の内外角の低めを狙う「ストライクからボールになる投球の多投」。三振を気にせず本塁打に前のめりの打者に効果的だ。
 02年に全投手が投げた投球はその54・2%がストライクだった。ところが今季は、記録を取り始めた08年から最低のストライク42・2%。バーランダーだけでなく、多くの投手が投球パターンを変えたのだ。内外角幅広く低めに投げる投球は、一方で暴投と死球をこれまで最多にしている。

 MLBはこれを予想していたのか。ルール改正のテストのため提携している独立リーグで、3ストライク目の投球が暴投か捕逸になったときだけできる「振り逃げ」をカウントにかかわらず可能とする試合をテストした。先週、“一塁盗塁”第1号選手が誕生したが、バッテリー間の距離短縮、塁間の内野守備選手は2人まで、継投投手の人数制限…とテスト課題は多い。ボール疑惑に続くMLBの規則改定攻勢。選手会は抵抗できるのか。(野次馬)

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