球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

「20世紀の野球ユニホーム」未収録分の続編期待

[ 2019年6月23日 05:30 ]

 1週間前、ニューヨークのオークションでベーブ・ルースのユニホームが564万ドル(約6億300万円)で落札された。1928~30年のビジター用だ。手持ちの「20世紀の野球ユニホーム」で調べた。この3年間ヤ軍のホーム用は細い縦じまだけで文字はない。ビジター用が白無地に濃紺でYANKEESの文字入りだ。

 大リーグ・ユニホーム史はこの一冊でOK。1900年から91年まで、全球団の年ごとのホームとビジター用のユニホームをカラーイラストで収録する。右手でバットを肩にし、左手を腰に当てるマネキンスタイルの人型に、ユニホームと帽子、ストッキングの柄、ロゴマークを細かく描きこむ。画数3500の大変な労作だ。調査し、イラストを描き、解説文を書いたのは商業美術家で野球マニアのマーク・オーケンネン氏(85)、5月31日に亡くなった。

 氏がこの著作を思い立ったのは84年の映画「ナチュラル」を見た時だ。ロバート・レッドフォード主演の20年代を舞台にした野球映画。「筋立てよりユニホームが気になった」。そこでユニホームを調べ始めたが「まとまった文献が全くない」。マニア魂に火が付いた。野球殿堂やワシントンの国立図書館、文書館に通い、新聞社、球団を訪ねる。そして7年、完成原稿に驚いた大リーグ機構が公式本として出版した。「野球文化の新分野開拓の古典」と殿堂学芸員。「ドル箱の復刻ユニホームはこの本なしには不可能」と球団。文化とビジネスに大貢献したファンこん身の一冊。MLBは出版後から今季まで28年間の未収録ユニホームの続編を出すべきではなかろうか。(野次馬)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る