球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

“伝説記者”が一刀両断 コミッショナーは「野球に有害」

[ 2019年4月28日 05:30 ]

 米連邦最高裁が「スポーツ賭博の是非は、各州議会が決める事項」と裁定し5月で1年になる。ワールドシリーズでの八百長事件以後、100年間賭博から距離を置いてきた大リーグ機構(MLB)は、これを新たなビジネスチャンスとみた。試合を賭けの対象にするカジノ業界から「インテグリティー・フィー=誠実な経費」を取ることができる。多くの州で合法化となればMLBに11億ドル(約1232億円)もの収益が…との推計も出た。だが、始まるはずの解禁の動きがない。殿堂入りの81歳の老記者がブログで現状を伝えた。

 カジノ業界は、MLBが要求する「インテグリティー・フィー」、単純に言えば「賭けるなら払え」の賭博対象費の支払いを拒否したのだ。この費用、スポーツ賭博の合法化を検討中の各州議会でも、払うべきか払わないでいいのか、弁護士間で意見が分かれている。さらにシーズン開幕で、見切り発車のカジノと州が出現した。カジノ業者は一定金額を州に払う契約を結び、MLBだけが全く収入なし。賭けの表示にチーム名を使えば商標使用料が発生するが、カブス―レッズ戦ならシカゴ―シンシナティと、それぞれの本拠地都市名での表示。「試合は球界の知的財産だが、これでは金銭の請求は無理」とMLBの法律部門担当理事は悔しがった。

 MLBは球団が独自にカジノ業者と契約しないよう指令を出し、一枚岩体制を固める。同時にカジノ業者に売るギャンブル用のさまざまなデータや野球規則改定の準備もしていた。ギャンブルに前のめりのロブ・マンフレッド・コミッショナーは「野球に有害」と、現状暴露の老記者はズバリ。元ニューヨーク・タイムズ紙の一匹狼の名記者だ。引退後もその牙は健在だ。(野次馬)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る