球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

DV騒動ジ軍CEOに厳しい処分迫った女性の声

[ 2019年4月7日 05:30 ]

 大リーグ機構(MLB)は球団幹部の処分には苦心する。どんな処分でも選手会から「身内に甘い」の声が出るためだ。3月1日、ジャイアンツのラリー・ベアーCEO(最高経営責任者)が公共の広場で夫人と争った。夫人を椅子もろとも引き倒した映像がネットに流れ騒動になった。

 MLBのドメスティック・バイオレンス(DV)禁止規則違反だ。MLBの処分が注目されたが、ジ軍とベアーCEOが先手を打った。「社会的に不適切な行為をした。謝罪し、反省する」と期間未定の休職。捜査したサンフランシスコ市警は「立件できない」と発表。“被害者”の夫人の証言が取れなかったらしい。「徹底調査」を宣言したMLBは静観し、ようやく開幕3日前に処分発表。ベアーCEOの職務停止期間は7月1日まで。3月から7月までの給与の停止と矯正カウンセリングの受講等を科した。停止給与額も発表すれば説得力が増すのだが、球団内処分に色を付けただけの印象だ。

 実はMLBは追い込まれていた。サンフランシスコ市長が「早く処分を出すべき。市を象徴する大リーグ球団の幹部は、モラルを一般の市民より高い次元で保持し手本になる責任を負っているはず。MLBは女性に対する暴力という反社会的行為に対して厳しい処分を科し、きちんとした説明責任を果たすよう希望する」とロブ・マンフレッド・コミッショナーに要望書を送り付けていた。市長は市政初のアフリカ系米国人の女性市長で進歩派だ。今の米国は女性の声が強い。多くの女性団体もMLBに迫った。

 女性たちが声を上げなかったならば、MLBは球団処分追認でファンの様子を見ながら適当な休職期間でお茶を濁し、幕引きをしたのではなかろうか。(野次馬)

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