球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

“お約束”ア軍&レ軍新球場計画…今季数インチ前進?

[ 2018年12月30日 05:30 ]

 今季もアスレチックスとレイズは新球場建設計画を発表した。20年続く“新球場の夢”。

 まず、ア軍のオークランド・コロシアム。66年にフットボールとの兼用競技場として建てられたが、フットボールのレイダーズは来年からアリゾナ州に移る。ア軍は老朽化し、時に下水逆流事故が起こる巨大な廃虚に取り残された。レ軍のトロピカーナ・フィールドも築28年で大リーグ唯一の密閉式ドーム球場。建築史の遺物で、球場ランクの最下位をコロシアムと争う。今季、ア軍は97勝65敗でプレーオフに進出したのに観客動員27位。レ軍も90勝72敗で29位。球界を驚かせた活躍に、あきれるほど少ない観客。球場のひどさが原因だ。資金がなくスターをそろえられない両球団だが、活躍は今季に限ったことではなく、金満球団と渡り合う戦いぶりは毎年目覚ましく、「新球場さえ持てば観客増員は保証付き」とメディア。

 ア軍の記者会見は「自前の資金でサンフランシスコ湾の波止場の中心地に建設。完成は2023年」と具体的。ア軍の“コロシアム脱出作戦”は06年に現球場から60キロのフリーモントでの新球場計画からだが、地元が反対。IT企業が集まるシリコンバレーの中心サンノゼ市への移転は実現目前でジャイアンツから「我が球団の保護地域圏内」と横やり。現球場に近い大学の敷地の一部買収には、大学がノー。

 サンフランシスコ湾内のアルカトラズ島の刑務所(現在は閉鎖で観光スポット)は「脱出不可能」で有名だが、「ア軍のコロシアムからの脱出の難しさはアルカトラズ並み」と地元紙。くしくもレイズの新球場完成も2023年という。大リーグには入場収入の30%程度をビジター球団に分配する決まりがある。ア軍、レ軍の新球場は全球団の収入にも影響する。ニューヨーク・タイムズ紙は「新球場に数インチ前進」とみるのだが…。 (野次馬)

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