球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

“再建名目に勝負を捨てている”選手会の言い分は言いがかり?

[ 2018年12月9日 05:30 ]

 大リーグは変革期だ。試合の戦術はもちろん、チームづくりの手法も急激に変わった。今季の観客7000万人割れは03年以来の事態だが、危機感を持った大リーグ選手会が声を上げた。

 「チーム再建を名目に主力選手を放出し、一気に若手選手に切り替え、勝負を捨てる球団が増えた。それがファン離れの原因だ」。あしき例として挙げたのが新オーナーのデレク・ジーター氏が主力選手の大半を放出したマーリンズだ。前年の158万3000人から約半分の81万4000人にまで観客を減らした。今季の95敗以上が8球団(うち3球団は100敗以上)は史上初だ。ドラフト上位指名権を得るため「勝とうとしない」との“疑惑”もささやかれる。

 そして、このオフも、マリナーズが通算311本塁打の二塁手カノと今季両リーグ最多57セーブ、防御率1・96のディアスをメッツに放出したのを含め5トレードで8人の主力の放出。選手会は「またか」とショックを受けての声明になった。

 大リーグ機構(MLB)は反論する。「観客減は悪天候のため。54試合の順延は89年以来最多。シーズン初めの寒気が長かった」とロブ・マンフレッド・コミッショナー。MLB幹部の一人は「シーズン前に選手会はマーリンズと並べてアスレチックス、パイレーツ、レイズを“勝とうとしない球団”として仲裁委に不服を申し立てた。ところがア軍はプレーオフに進出し、レ軍は90勝。パ軍も82勝で勝ち越し。“勝とうとしない球団”とは言いがかりだ」。「再建は毎年どこかのチームがやっている。力の衰え始めたベテランは、ためらうことなく若手に代えろ、とは昔からの球界の教え」

 選手会の旗色は悪い。確かなのはこのオフのFAの契約は昨年同様遅くなることだろう。FA市場が動く前の放出主力選手で戦力整備は終わってしまう。オフの選手間の年齢別バトルは年を追って激しくなるばかり…。 (野次馬)

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