球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

“頑固親父”退任 ショーウォルター監督に感謝の声

[ 2018年10月7日 05:30 ]

 今季の監督交代は7球団。昨今の野球は、データ分析でGMが先発選びから戦術までを監督に指示する。監督の役目はGMプランに選手を従わせることだ。監督の存在感は薄れ、監督人事の記事は小さくなった。そんな中で、大きく扱われたのが、オリオールズのバック・ショーウォルター監督(62)の退任だ。

 オ軍の今季は球団史上最悪の47勝115敗。監督に来季はないのは当然だが、本拠地ボルティモアでは感謝の声があふれた。選手、ファン、記者までもがショーウォルター監督に強い父親像を重ねた。ヤンキースのマイナー選手出身、92年にヤ軍監督に就任し、4年で14年ぶりのプレーオフに導いた。喜んだ先代スタインブレナー・オーナー(故人)が2年の契約延長を提示したが、打撃コーチの解任に怒って契約拒否。球団誕生を3年後に控えたダイヤモンドバックスが監督予約契約をした。以後、レンジャーズ、オリオールズの監督を歴任、最優秀監督賞3度。選手の監督人気投票では嫌われ組の常連だが、若手育成手腕は抜群だ。

 地元紙記者の思い出コラム。「15年4月、警官が黒人青年に重傷を負わせた。市は抗議の黒人たちと警官隊の衝突で暴動地帯となった。オ軍は大リーグ史上初の無観客試合。試合後の会見で、新人の私は恐る恐る質問した。“監督、我々若い黒人男性に向けてアドバイスは?”。無視か、建前の返事を覚悟した。彼は私の目を見つめ“私は黒人ではない”と言った。“だから問題の渦中に入って考えられない…”」。3分間の返事は、答えようともがく姿を伝える。「その間、彼は私の目から視線を外さなかった。新人記者にとって彼の返事は宝となった」。誠実さが圧倒的だ。コラム掲載紙は「後任はエンゼルスの監督を退いたマイク・ソーシア氏(59)がベスト」と、旧世代の頑固監督を望んだ。 (野次馬)

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