球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

スポーツ賭博“合法化”野球の未来は繁栄か没落か…

[ 2018年5月20日 05:30 ]

 14日、全米のメディアが伝えた。最高裁が、92年に連邦議会が定めた「スポーツ保護法」は憲法違反、と裁定した。スポーツをギャンブルから隔てる壁の“保護法”を無効としたのは、「州議会が持つ立法権を連邦議会が侵して作った法律は無効」と明快だ。4大プロスポーツ業界(野球、アメリカンフットボール、バスケットボール、アイスホッケー)は色めき立った。合法的な商業スポーツ賭博で巨額の収入が期待できる。

 「新たな危機とばく大な報酬」(ワシントン・ポスト)、「スポーツとギャンブルとの関係に大きな変化をもたらす」(ニューヨーク・タイムズ)決定だ。大リーグ機構(MLB)のブライアン・シーリー捜査部門主任理事は、「予想していた判決で、我々は1年前から準備を進めていた。スポーツ賭博の法制化を目指す各州でロビー活動を行い、我々のゲームの完全性を守れる法律を作ってほしいと働きかけた」という。選手会のトニー・クラーク理事長も「判決は、選手に多大な影響を与える。知的財産権の問題(賭けの対象とされることへの対価だろう)もあるし、何よりも選手と試合の高潔さを保護する法律が必要だ。慎重に対応する」。

 他のプロスポーツほど前のめりの姿勢を見せないのは、1919年のワールドシリーズ八百長事件(ブラックソックス・スキャンダル)と89年のピート・ローズ野球賭博事件があるからだろう。しかし、水面下で準備を進めていたのは常識。ロブ・マンフレッド・コミッショナーは3年前の就任時に「今のギャンブルを昔のそれと同一視すべきではない」と言っていた。これまで違法スポーツ賭博で年間10兆円もの大金が闇に消えていたそうだ。それを防止できる、ともいうのだが、目に留まったファンの投書。「家庭に銃器があふれ、今度はギャンブルだ。USANo・1」。痛烈だ。 (野次馬)

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