球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

定番「中4日ローテ」に“保守派”からも一石

[ 2017年12月24日 05:30 ]

 エンゼルスのマイク・ソーシア監督(59)は来季でエ軍19年目。データ野球全盛の中、2年前には対立したデータ派GMを追放した昔かたぎの指揮官だ。「昔は年33試合先発、200イニング投げられる投手が先発投手だった。今は170イニングもおぼつかない」。そんな嘆きを口にした保守派監督が、「来季は先発投手6人で中5日登板のローテーションを考えている」と言う。エ軍6人の先発投手でこれまで年160イニング以上投げた経験を持つのは1人だけ、投手陣は故障者続出だ。アストロズに21ゲーム差の2位に終わったエ軍は来季、投手陣再整備と運用変革が急務なのだ。

 ソーシア監督は、二刀流の大谷を有効に使うための先発6人制ではないと言う。6人制を考えているところに大谷入団が背中を押した。エ軍のビリー・エプラーGMは「球界全体がその方向に向かっている」とみる。ニューヨーク・タイムズは、ワールドシリーズを継投で制したアストロズにはシーズン153回1/3以上投げた投手がいなかったと指摘する。野球の歴史は、打者の打撃術の進歩と投手受難の歴史でもある。進化した打者を抑えるため投手は常に全力投球。それで故障者が増えるなら、投げるイニングを短くした継投…流れは自然だ。

 大リーグ定番の先発5人中4日登板について74年の日米野球で来日したメッツのトム・シーバー(殿堂入り投手)が言っていた。「登板直後の投手の肩、肘の毛細血管は切れている。そこで氷で冷やし血を止める。翌日から血管は修復を始め3日で回復。4日目に軽く投げて翌日の先発に備える」。長年の習慣で生まれた中4日登板は“科学的な理由”があったというのだ。大谷獲得に名乗りを上げていた20球団は、先発6人中5日登板が視野に入っていた。大リーグの定番ローテーションが変わるかもしれない。 (野次馬)

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