球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

かつてのヤンキースでは考えられない…異例の新監督採用試験

[ 2017年12月3日 05:30 ]

 ヤンキース監督は、チームOBで03年のリーグ優勝決定戦でサヨナラホーマーを放ったヒーロー、アーロン・ブーン氏(44)に決まったと米メディアで報じられた。

 ヤ軍の監督選びはユニークだった。通常、手の内を見せず、候補者のプライバシーを守るためメディアを避けて行う監督選びを“公開”でやった。候補者たちは、ブライアン・キャッシュマンGMら幹部たちから4、5時間もの質問を浴びた後、担当記者たちとの電話会見を義務付けられた。

 記者会見を監督選びに組み込む異例の手法、「特別な才能を広く求めるクラウドソーシングのようだった」(ニューヨーク・タイムズ)。面接を受けた候補者は6人。球歴も人種も多種多様、皆が“球界の盟主”の監督の座に向け、記者たちに熱弁をふるった。キーワードは「コミュニケーション」、対話の技術だ。

 球団は記者会見を「ファンへの情報公開」としたが、同時にメディアへの対応能力を採点し、球団調査で行き届かない候補者の“身体検査”をメディアに任す含みもあった。03年、ダイヤモンドバックスはメッツOBウォーリー・バックマン氏の監督就任を発表した。4日後、ダ軍は解任を発表、バックマン氏の家庭内暴力、飲酒運転歴が報じられたのだ。ヤ軍にこんな失敗は許されない。

 ヤ軍の新採用試験には、他球団も好意的だ。「人気、財力、戦力と圧倒的なヤ軍だけができること。ヤ軍のファンは全米にいる。面接とセットの記者会見は大変なPR効果」。だが、「市場規模の小さな球団では競争を避けるため秘密交渉が武器」ともいう。

 かつてのヤ軍は人事情報の機密保護に厳格だった。先代オーナー故ジョージ・スタインブレナー氏はキャッシュマンGMのGM会議出席を禁じていた。時代は変わった。ブーン新監督は、現役引退後は解説者。監督経験はないが、コミュニケーション術はお手の物だった? (野次馬)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る