球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

たとえ差別でなくても…マーへの苦言謝罪やむなし

[ 2017年6月11日 05:30 ]

 米国での差別的な言動に対する神経の使いようは大変なものだ。6日、ヤンキースの田中将大がレッドソックスに3本塁打され5連敗した。その翌日、レ軍のテレビ中継解説者ジェリー・レミー氏(64)がネクタイ、スーツ姿で顔をこわばらせて話す短い映像が大リーグ機構(MLB)公式サイトで流れた。「昨夜の中継での私のコメントは多くの視聴者からの非難を受けた。私はテレビ局の同僚、レ軍、特に私の不適切な発言を指摘してくれた視聴者に謝罪する。どうかこの謝罪を受け入れてほしい」

 レミー氏は球宴出場歴がある元レ軍の人気二塁手、引退後30年近く中継に携わってきた。問題コメントは、田中とラリー・ロスチャイルド投手コーチ、堀江慎吾通訳がマウンドで話し合った4回表だ。「規則で認めているが反対だ。絶対にダメだ」とレミー氏。中継アナは驚き「13年に通訳を伴うマウンド会議は規則でOK、なぜ反対ですか」。レミー氏は「野球英語を学べ。簡単なことだ」。アナは「通訳を入れないと細かいニュアンスが伝わりません」とカバーをしたが、遅かった。ネット上で視聴者の非難コメントが燃え盛った。

 レ軍は1カ月前にホーム球場のファンの差別発言で謝罪したばかり。「レミー氏の発言には、我がテレビ局も球団も同意しない」とコメント。退路を断たれたレミー氏の謝罪会見となった。

 通訳を入れたマウンド会議の容認規則は、レ軍に松坂大輔や岡島秀樹ら日本人投手が入団したことで進んだ。この動きは、球団は中南米選手にスペイン語通訳を付けるように、とのMLBガイドラインにつながる。レミー氏のコメントは“規則反対。差別発言ではない”ともとれるが、まず火消しだ。謝罪は仕方なかったろう。 (野次馬)

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