球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

人種差別発言を告発…ジョーンズに称賛の拍手

[ 2017年5月7日 05:30 ]

 レッドソックス―オリオールズ戦が行われたフェンウェイ・パークで1日、観客による人種差別発言事件が起こった。オ軍のアダム・ジョーンズ外野手が差別発言を浴びせられ、ピーナツ入りの袋を投げつけられた。ジョーンズは「許されることではない」と激怒した。ヤンキースのサバシア投手が「ボストンではいつものことだ」とコメントし、「騒ぎが面倒で黙っていたが…」と他球団選手の証言が続々と。当然、レ軍も問題は承知していたはずだが、真っ向からの指摘に球団は動揺した。

 翌朝、ジョン・ヘンリー・オーナーとサム・ケネディ球団社長がジョーンズとバック・ショーウォルター監督に会い「差別発言の観客は二度と球場に入れない」と謝罪した。マサチューセッツ州知事、ボストン市長も「許しがたい」と声明を出した。差別発言を浴びた経験を持つレ軍のムーキー・ベッツ外野手は「勇気ある告発をしたジョーンズに感謝の意を表すべき」と提案し、翌日の試合のジョーンズに観客は立ち上がり拍手を送った。

 古都ボストンは伝統を持つと同時に古い因習も残る。1947年にジャッキー・ロビンソンが大リーグの“肌の色の壁”を破りドジャースに入団した。12年後の1959年、レ軍はパンプジー・グリーン内野手と契約、黒人にドアを開いた最後の球団になった。

 巨人に在籍した当時のレジー・スミスに教えられたことがある。「ボストンのあるニューイングランド地方は、自由と民主主義の揺りかご、というが、住んでみるとだいぶ違う」。レ軍の新人時代からスミスは差別に抗議を続け問題児にされた。声を上げたジョーンズが拍手を浴びる時代、スミスは進歩と喜ぶか、あるいは苦笑するか…。 

  (野次馬)

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