球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

パイレーツの未来を壊したマルテの薬物違反処分

[ 2017年4月23日 05:30 ]

 パイレーツの走攻守の柱、スターリング・マルテ外野手(28)が薬物規定違反で80試合出場停止(無給)処分となった。マルテ出場停止の発表は、パ軍がカブスに3連勝した勢いに乗りカージナルスと3連戦を戦っている最中だった。結局パ軍は3連敗、カージナルスのスカウトは「この出場停止は今季のパ軍を殺した」と言った。複数メディアが「パ軍はシーズン中に、選手を買う体制でいたが、一転、売ることになる」と報じた。マルテの不祥事は今季どころかチームの未来も壊したのだ。

 本拠地ピッツバーグは中都市でパ軍の市場は限られる。選手年俸ランクは常に20位以下、それでも2013年から15年まで3年連続ワイルドカードでプレーオフに進出したチームづくりは球界で一目置かれていた。マルテはパ軍がドミニカ共和国に持つ野球アカデミーで育ち、18歳で契約したエリートだ。大リーグに上げるまで英才教育に5年。長期的なチームの柱と球団は判断し、14年に6年総額約34億円の契約を結んだ。2年連続ゴールドグラブ賞、昨季は初の球宴出場と順調にきた4年目にこの騒動。メディアの「選手を売る」との予想はマルテの脇を固める選手が浮いたため。カブスやヤンキースのような金満球団なら可能な戦力保全がパ軍では無理なのだ。

 球界が驚いたのはマルテが使用したナンドロロン。薬物禁止規則を作るため03年に選手名を出さず罰則なしで大リーグ機構(MLB)が調査したとき73人もの選手から陽性反応が出た古いタイプの筋肉増強薬だ。「まだ使われていたとは…」。これに新薬が加わり検査項目は増えるばかり。出場停止選手は直近5年間に20人、うち8人が昨季。違反者も増加傾向にあるようだ。 (野次馬)

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