球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

メッツ放っておけなかった守護神の夫婦げんか

[ 2017年4月2日 05:30 ]

 「夫婦げんかは犬も食わぬ」という。“放っておけ”との教えだが、メッツはそうはいかなかった。昨季51セーブのクローザー、ファミリアが昨年10月末のドメスティックバイオレンス(DV)で長期の出場停止が科せられそうになっていた。開幕を前に大リーグ機構(MLB)からの処分は「出場停止15試合」、停止期間の給与支払い停止、この“罰金”は約8000万円にもなるという。高くついた夫婦げんかだが、メッツはホッとした。30試合以上の出場停止を覚悟していたからだ。

 酔ったファミリアが夫人ともめた。夫人の電話で駆け付けた警察官は夫人の頬に引っかき傷を認めた。ところが、夫人の証言拒否で事件にならなかった。MLBが「DV禁止規則」を定めたのは2015年。これまでに罰されたのは3選手だ。ヤンキースの守護神チャプマンは30試合、ブレーブス(当時、現在FA)の内野手オリベラは82試合、メッツ(当時ロッキーズ)の内野手レイエスは52試合の出場停止になった。もちろん給与も停止。共通していたのが、被害者の女友達や夫人が警察での証言を拒否したこと。互いに冷静になって仲直りしたのだろう。「DV禁止規則」は立件されなくてもMLBが罰則を科せるとしている。過去の例に比べファミリアの停止試合数はずいぶん少ない。

 事件後ファミリアはDV被害者救済団体に寄付をした。新人大リーガーに講演もした。1時間半の矯正面談を12回も受けた。球団は減刑のための活動をファミリアとやったのだ。効果はあった。頬の傷について夫人は「息子に引っかかれたの」。坊やは1歳、力のある子だ。 (野次馬)

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