球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

身売り、エース事故死の真相…活気ないマーリンズ

[ 2017年3月19日 05:30 ]

 どのチームも優勝を夢見る開幕前というのにイチローと田沢純一が所属するマーリンズに活気は見られない。原因はチームの希望の星だったホセ・フェルナンデス投手が24歳の若さで昨年9月に高速ボートで岩礁に激突し突然亡くなったことによる。さらにキャンプイン早々にオーナーのジェフリー・ロリア氏がチームを売却し、フランス駐在大使に転身のニュースが流れた。騒動は買い主のトランプ大統領の近親者が「買収はやめた」とコメントし、すぐ収まった。だが、身売り危機の状況は残った。

 そして先週、フェルナンデス氏の事故死の最終報告書が捜査当局から発表された。フェルナンデス氏の血液から規定の3倍のアルコールとコカインが検出され、ボートの操舵(そうだ)輪とスロットル・レバーにフェルナンデス氏のDNAが付着していたことから、操船していたのはフェルナンデス氏と結論付けた。衝突時のスピードは時速100キロ超。深夜、飲酒影響下での違法なボート操船をやり、スピード違反を犯し同乗者2人を死に至らしめた…。母親をはじめとする家族はフェルナンデス氏の女友達が2月に産んだ女の子に故人の遺産約2億円を継がせたい意向だが、この報告書でそれも難しくなった。亡くなった2人の友人の遺族が不法行為による死を被ったとして、それぞれ2億円の損害賠償を求めて訴訟を起こしたのだ。

 フェルナンデス家の弁護士は「受け入れがたい報告」と憤るが、反論は難しい。デービッド・サムソン球団社長は声明を出した。「報告書の結論がいかなるものであろうと、フェルナンデスがチームとマイアミ市のファンと結んだ輝かしい絆は消えることはない」。チームはやりきれなさに沈むばかりだ。 (野次馬)

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