球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

30歳超えたFA選手に続く再就職の氷河期

[ 2017年3月5日 05:30 ]

 昨季ドジャースの強力ブルペンの柱、ジョー・ブラントン投手(36)の契約が2月末日にまとまった。ナショナルズと1年、昨季と同額の400万ドル(約4億5600万円)だ。昨季ブラントンは75試合で80回投げ奪三振80、防御率2・48と文句なしのセットアップ役を果たした。だが、ド軍は契約更新せず、ブラントンはFAに。待つこと4カ月、ようやくナ軍から声が掛かった。

 30歳を超えたFAの再就職は氷河期が続く。「確実な成績が見込めると思えるベテランの多くがマイナー契約のキャンプ招待選手だ」(USAトゥデー紙)。若手との競争に勝てばメジャー契約に切り替えられるが、ダメなら選手生活は終わる。招待もされず自宅待機のベテランFA選手が、今も少なからず残っている。

 敬遠の理由はなぜか。ベテランFA選手には年俸100万ドルから400万ドル(約1億1400万〜4億5600万円)が必要だ(さらに、旧所属球団にドラフト指名権を譲るケースも起こる)。球団の選手年俸総額が増大し、定められた枠を超えると、課徴金が発生する…。ベテランを獲得しにくい制度上の圧力があるためだ。

 06年の開幕時、大リーグ最低保証年俸53万5000ドル(約6100万円)に近い選手は214人だった。それが、昨季開幕時は333人に増えた。若手優先のトレンドをよく表している。「球団間で、選手年俸総額に影響するベテラン選手獲得で“密約”があると思わないか」と記者会見で問われた選手会のトニー・クラーク専務理事は、「その種の質問には答えない」と言った。メディアは疑っているのだ。

 戦力均衡策、球団収入格差の是正策をさらに強化し昨年末に結ばれた「労使協約」は21年まで続く。氷河期は始まったばかり…。 (野次馬)

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