球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

相次ぐ交通事故死…全球団頭抱えるドミニカ共和国の日常

[ 2017年1月29日 05:30 ]

 先週、ドミニカ共和国でロイヤルズの速球投手(最速166キロ)ヨルダノ・ベンチュラ投手(25)とインディアンスやブレーブスなどでプレーしたアンディ・マルテ内野手(33)が相次いで自動車事故で死亡した。ベンチュラは3年連続2桁勝利のエース候補、ロイヤルズのショックはもちろんだが、全球団が頭を抱えた。というのは、昨年もオリオールズ、アストロズ、ヤンキース所属の3人のマイナー選手が、2年前はカージナルスのオスカー・タベラス外野手が事故死している。“外国の話”では済まなくなっていたからだ。

 ドミニカ共和国は、昨季82人が大リーグ登録された選手最多供給国。現地でアカデミーを運営し選手発掘を続ける球団もある。多発する自動車事故に「飲酒運転はノー、と毎日注意している。しかし、酒を飲んで車を運転するのがこの国の若者の日常」とナショナルズのアカデミーの責任者。「交通規則はないも同然。飲酒運転の検査など見たこともない」と、大リーグ監督歴を持ち現在はドミニカ共和国の国内リーグで監督を務めるマニー・アクタ氏。「選手教育には限界がある」と嘆く。

 アルコールや薬物問題がよどむ社会に、大金を手にした若者と高級車が出現した。そして、交通規則施行に頼りにならない警察、10万人当たり30人の死亡事故は中南米で最悪…と悲劇が続く条件がそろってしまった。

 ベンチュラの葬儀に出席したロイヤルズのデイトン・ムーアGMは「捜査当局からは飲酒の影響はない、と聞かされたが、検査の最終結果は2週間後」という。長期契約の残り約23億円、薬物などの影響が見つかれば支払わずに済むが、異常なしだと全額保証だ。そんな金銭的な問題も起こっている。  (野次馬)

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