球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

愛国心ぶつかるWBC 米国代表に火は付くか

[ 2017年1月15日 05:30 ]

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)報道で最も目に付くのは、大リーグ機構(MLB)ホームページのチケット販売案内だ。そこにナショナルズのエース、マックス・シャーザー(昨季20勝でサイ・ヤング賞)が「代表チームで投げる」と宣言した。球界はざわめいたが、右手薬指の疲労骨折が見つかり欠場、線香花火で終わった。「マイク・リゾGMはWBCに全面協力と言ったが、内心ホッとしているはず」とナ軍の地元紙ワシントン・ポスト。ホスト国の関心はこの程度だ。

 しかし、球界全体が冷ややかなわけではない。中南米出身の大リーガーたちは出場に積極的だ。五輪選手と同じく、国を代表してのプレーに燃えている。日本の連覇後の第3回大会でドミニカ共和国が同じ中南米のプエルトリコを破って優勝したのが大きかった。これが中南米選手の心に火を付けた。球団は出場を希望する中南米選手に、プレーするイニング数、投球数などさまざまな制限をつけ負担軽減を図るのが精いっぱいになった。シャーザーが出場を望んだ理由も「米国代表で投げるのは特別だから」だ。

 「WBCは生みの親、バド・セリグ・コミッショナーが交代すれば消滅」との見方が大リーグ球団の一部にあった。セリグ氏が引退して3年、そんなゴシップを抑え込んできたのが、日本、韓国の健闘、中南米諸国の熱い戦いの積み重ねだ。「これまで4位がベストの米国の成績次第でWBCの将来が決まるのではないか」と見る地元メディアも出始めた。人は自分を母国に結びつける行為をするのに誇りを感じるもの。WBCにはその仕掛けがある。米国代表はそんな誇りを見せるだろうか。ホスト国の責任は重い。 (野次馬)

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