球拾い―大リーグのこぼれ話伝えます―

薬物疑惑ボンズ、クレメンス両氏殿堂入り近い?

[ 2017年1月8日 05:30 ]

 年明け大リーグ最初の“定例行事”が18日(日本時間19日)の殿堂入りメンバー発表だ。通算本塁打トップのバリー・ボンズ氏(52)とサイ・ヤング賞7回のロジャー・クレメンス氏(54)の投打の大物はどうなるか。薬物使用疑惑のある2人に投票権を持つ全米野球記者協会の10年以上連続取材の記者たちの判断が注目だ。75%以上の投票獲得で殿堂のドアは開く。2人に対する最初の投票は13年、ともに40%に届かなかった。それが徐々に増え、昨年は40%超。今年は「イエス70%超」とネット・メディアの事前調査。

 薬物汚染選手への記者たちの見方が変化した理由はステロイド時代を取材した記者が減り、若い記者が増えたこと。「拡大・選考委員会(球界関係者16人で構成)では薬物汚染で“利益”を得た人物を殿堂入りさせた。選手だけ問題にするのは不公平」との声だ。利益を得た人物とは、薬物強打者を率いて両リーグでワールドシリーズを制したトニー・ラルーサ元監督(14年に満票)と昨年12月に殿堂入りとなったバド・セリグ前コミッショナー(反対1票)。セリグ氏は10年以上薬物汚染に目をつぶっていた、というのだ。ボンズ、クレメンス両氏の今年の殿堂入りは無理としても、まだ5年間候補者名簿に名は残る。いずれ殿堂入りではないか。

 それとは別に、「野球記者が投票するのはおかしい」との声がメディア内にある。ニューヨーク・タイムズは昔から記者の投票を禁じていた。ワシントン・ポスト、シカゴ・トリビューンなどの有力紙がこれに続き始めた。「記者はニュースを取材するもので、ニュースをつくるものではない」からだ。米国野球殿堂博物館は選考方法を考え直す時を迎えたように思えるが、どうだろう。 (野次馬)

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