下柳剛のシモネタ発見

ぼんやりとしていたものが紙を目にするたびに変わってった

[ 2015年4月20日 05:30 ]

 スポニチアネックス読者のみなさん、いかがお過ごしですかな? どうも、下柳です。

 今週は1カ月ぶりに、メンタルトレーニングについてのお話を書かせてもらいますわ。今回のテーマは、スポーツをやっていない方でも当てはまるものやと思うので、さっそく始めましょう。

 後日談になるけれど、最多勝を獲得した2005年のシーズンは、開幕前からそのタイトルを目標にしとった。日本ハムから移籍して3シーズン目。例年以上に充実した自主トレを行えた手応えもあったし、ジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之と言ったリリーフ陣も盤石やったからね。オレの中でも「もしかしたら、狙えるんちゃうか」という期待はあった。

 自分の中だけで終わらせてはダメだと思って、あるときメンタルトレーニングを教わってきた福島大・白石豊教授に尋ねてみた。

 「先生、今年の目標は最多勝獲得で良いでしょうか?」

 そしたら、白石先生からは、即座にこんな言葉が返ってきた。

 「シモ、僕と付き合って何年になる? いつも言っているように“願わなければ叶わない”よ」

 確かに、先生の仰る通りやと思って、オレはさっそく行動にうつすことにした。先生からアドバイスされた「目標達成技法」とでも言うのかな。オリンピック選手がよく使うらしいんやけど、それをオレ流にアレンジしてみることにした。

 はじめに着手したのは、毎日の行動目標の設定やった。分かりやすく言えば、目標に掲げた最多勝を達成するために、一日一日で自分は何を達成しなければいけないのかを考え、起床から就寝までの行動計画を入念に練ってみた。

 それは起床する時間から始まって、朝食を取るまでに行うトレーニング、朝食のメニュー、午前中にやるべきトレーニング、昼食のメニュー、午後からのトレーニング、休憩時間、夕食のメニュー、就寝時間と多岐に及んだ。こなすべきノルマを細かくあぶり出し、それを紙に記していく。ぼんやりとした内容ではなくて、より具体的に、なおかつ「自分が最終目標にたどり着ける」と思えるものやないと意味がないからね。

 続いて取り組んだのが、セルフ・イメージの改善やった。白石先生いわく人間のパフォーマンスは「自分はこういう人間だ」と思い込むことで(=セルフイメージ)、大きく行く末が変わってくるらしい。言われてみれば登板前にオレ自身が「きょうは絶対に抑えられる」と思えた日と、逆に「ちょっと調子も悪いし大丈夫かな?」と不安だった日とでは、結果が全然違うということを実感しとったからね。

 そこでオレは、ある工夫を試みた。自宅の目につくところへ「最多勝」と書いた紙を貼り付けることにしたんや。寝室の天井、トイレ、リビング…。そして、その紙を目にするたびに「最多勝」とつぶやくことにした。

 それだけやない。そのつぶやきにプラスアルファする形で、例えばプロ野球コンベンションで自分が表彰されているイメージを思い浮かべた。それも視覚だけでは飽き足りないから、聴覚、体感覚とありとあらゆるものを使って、イメージし続けた。それには確かな根拠もあって、脳はイメージと現実をあまり区別せずに認識するという話しを聞いたことがあったからね。

 不思議なもので、当初はぼんやりとしていはずの「最多勝」という目標が、日々の行動計画をこなし、紙を見ながらイメージをするごとに、タイトルを獲れる、という自信に変わっていった。だから、最多勝を獲得してコンベンションの表彰式の壇上に上った時には、嬉しさと同時に、デジャブ(既視感)の不思議さがあった。目標を大きく持つことの重要性を知った、1年になったよね。

 来週の当コーナーでは、これまでになかった記事を書くつもりにしています。今は内緒やけど、みなさん、お楽しみに!

 

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