下柳剛のシモネタ発見

引退まで持ち続けた権藤さんの言葉「打たれても下を向くな」

[ 2015年2月2日 05:30 ]

11年6月、オリックスとの交流戦で3回途中降板もうなだれることなくベンチに戻る下柳
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 スポニチアネックス読者のみなさん、いかがお過ごしでしょうか? どうも、下柳です。

 ついに始まりましたな。春季キャンプ! 初日の1日は日曜日やったこともあって、阪神宜野座キャンプは大盛況やったみたいやね。

 オレも阪神へ移籍してきた1年目の2003年は、キャンプの人の多さにビックリしたもんね。それこそ、前年までいた日本ハムなんて、数えられるぐらいやったのに(笑)。平日でも完全に、日本ハムのMAXより多いやんか! 改めて阪神の人気を痛感したもんですわ。

 さて、オレの恩師である権藤さんシリーズもいよいよ今週が最終回。計4回にわたってお届けできたということだけでも、いろいろとお世話になったというのを物語っているよね。

 権藤さんという人は練習中は、技術的なことはほとんど何も言わない。ただ、投げる時の気持ちの持ち方、態度についてはいろいろと言われたし、教わることが多かったよね。

 「シモ、余裕こくんじゃないぞ! チェンジになるまで絶対に気を抜くな!」

 オレも若い頃は投手が有利な局面になればなるほど、どこかで心にスキが生まれることがあった。たとえば2死から失点してベンチへ戻ると、その都度、権藤さんには怒られたよね。

 「おい、トドメをさすときほど慎重にやれと言ってるだろ! 2アウトになってからこそ、しっかり投げるんだよ!」

 気持ちの部分については、本当に厳しかった。だから、打たれてうつむいてベンチへ戻ったときなんかも、すかさず指摘されたよね。

 「シモよ、打たれても下を向くなっつってんだろうよ。堂々として帰ってくるんだよ。お前は一生懸命投げてないのか? 違うだろう。だったら結果はたまたまなんだから、良い悪い関係なく胸張って帰ってこいや! ダメなら下手くそということなんだから、ファームへ行ってうまくなるために練習する。それだけのことだろう」

 その言葉は引退するまでずっと、オレは持ち続けていた。だから、阪神時代も打たれて早めに降板することがあっても、ベンチの前に座って仲間を全力で応援していた。打たれて、しょんぼりしている場合やない。

 先発の自分が打たれたということはリリーフしてくれている投手、野手にも迷惑をかけていることになる。そこでもし、オレがガックリうなだれていたら、ベンチの雰囲気も悪くなるし、チームにとって何のプラスにもならない。それに降板したピッチャーができることなんて、仲間を応援することぐらいしかないやろう。そこで声の一つも出さんかったら、バチが当たるで。ほんまに。

 だからこそ、阪神を戦力外になったとき、権藤さんには報告の電話を入れた。

 「そうか。本来ならお前の骨はオレが拾ってやりたいけど、中日がいまお前を獲ることはできない。ただ、オレが声をかけられるところには、声がけしとくから」

 当時の権藤さんは中日の1軍投手コーチやった。オレは報告のつもりが、そこまで気にかけてもらってね。その心遣いだけでも、本当にありがたかった。

 最後に。ダイエー時代、権藤さんは単身赴任で、オレも独身。たまたま家も近所やったから、ある時から福岡ドームまでの送り迎えをオレがするようになった。試合が終わったら「よし、飯を食おう」と誘ってもらって。家の周りにはおいしいお店がたくさんあったし、たらふく飯を食わせてもらった。たまには他のピッチャーも合流して。投手陣の間では「権藤食堂」なんて呼んでいたけど、それも良い思い出だよね。

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