下柳剛のシモネタ発見

師匠・権藤博さんを語る オレが20年以上飯が食えた驚きの一言とは

[ 2015年1月12日 05:30 ]

 どうも~。スポニチアネックス読者のみなさん、ご機嫌いかがでしょうか? 下柳です。

 さて、阪神ファンのみなさん、新年早々、良い知らせが届きましたな。海外FA宣言していた鳥谷が8日に残留を決断。「3番・遊撃」という中心選手が流出していれば、チームにとってはほんまに痛手やったからね。今オフは補強失敗の報道が目立っとったけど、鳥谷の残留は何よりの補強やないのかな。

 オレもFAの経験があるから分かるんだけど、鳥谷も悩みに悩み抜いたやろうね。そういう心の葛藤というのは、実際に経験したもんやないとなかなか分からない。メジャーへ行きたい気持ちはあったやろうけど、鳥谷のことやから気持ちの切り替えはできているはず。今季はもちろん、これから何年も阪神を引っ張っていってほしいよね。

 さて、今週からは何回かに分けて、権藤博さんについて書かせてもらうことにしますわ。

 権藤さんはオレがダイエーに入団したときの投手コーチやった。オレがプロとして20年以上、飯を食えたのも権藤さんとの出会いがあったから。オレにとっては師匠と呼べる存在だよね。

 権藤さんは現役時代に投げすぎて、選手生命を絶たれてしまった。当時としては珍しくアメリカでコーチ修行されていたこともあったし、「この人の下でやってみたい」という思いが確かにあった。

 実際に、指導を受けるようになってからは、驚くことばかりだったよね。まず言われたのが、次のような内容やった。

 「シモ、ホームベースの両サイドを外さなかったら使ってやる。ワンバウンドを投げようが、高い球を投げようが、縦のラインさえ合っとけばええ。だけど、両サイドに外したら使わないから」

 普通は、そんな言い方はせんよね。少なくとも、いまだかつて、そんなことを言ってきたのは権藤さんただ1人やった。それはオレが制球難ということを見切った上で、どうすれば力を引き出せるかということを考えての言葉やったと思う。

 投手コーチとして、制球に不安がある投手に対しては「コース、低めを狙え。コントロールだけは気を付けろ」というのが当たり前。でも、権藤さんは違った。

 オレも「よし、とにかくベース内に投げることに集中しよう」と思えたし、それが一つのゆとりにもなった。権藤さんはメンタル面に関しても造詣が深かったし、一風変わった言い回しにはオレに対する配慮があったんやろう。

 実際、ベースの上に投げられている間はどんなに四球を出そうが、ヒットを打たれようが、約束通りに試合で使い続けてくれた。もちろん、オレも意気に感じたし、どんなに苦しい練習でも踏ん張れたよね。

 練習と言えば、懐かしいのが権藤さんとのキャッチボールやね。権藤さんの足下にホームベースを置いて投げるんやけど、キャッチボールのたびにホームベースを持ち歩いてね。ホームであろうが、ビジターであろうが、そのスタイルは崩さんかった。投球練習まではいかないけど、結構な強さで投げていたと思う。とにかく、普段のキャッチボールから「ベースの幅」ということを強く意識していたよね。

 ところで、制球を磨くためのおすすめメニューを一つ紹介します。仰向けになって、天井目がけてボールを投げる。真上に上がって、リリースしたところへそのまま戻ってくれば、それが、アナタにとっての正しいリリースポイントと言える。実はリリースポイントというのは人それぞれで、違って当たり前。自分に合ったポイントを知るために「天井投げ」は有効なんや。

 もちろん普段からの走り込み、体幹の強さがないと制球は良くならないんやけど、草野球でピッチャーをやる人なんかは参考にしてくれたら良いんやないかな。以上、下柳のワンポイントレッスンでした。それでは、また来週!

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